モチベーション

音楽に限らず何かを習得する上でモチベーション(動機)を保ち続けることはとても重要な事です。特に芸術分野は成長が緩やかであり、数年、数十年と長期に渡って努力を続けていかなければなりません。また、気分が乗っている時は学習効果が高く、実際同じ作業でも気分次第で作業効率が2倍近くまで上がるという報告があります。反対に気分が乗らない時、ボーとしたまま何時間、何日もダラダラ過ごす事もあります(それはそれで必要なことではあるのですが)。

ここでは私の経験や幾つかの文献(国内、海外)をもとにモチベーション、いわゆる『やる気』を引き出す・維持する方法を模索してみたいと思います。ちなみに私は熱しやすく冷めやすい性格で、飽きっぽさには自信があります。しかしジャズだけはダラダラと20年近く続けているので私には向いていたのでしょう。気軽に読んで下さい。

リラックスして鍵盤に向かう

あるインタビュー記事で著名な小説家が「小説を書く気がないときでも、机に座る、そうすれば自然とアイデアが浮かんでくる」と答えていたのを読んだことがあります。特にクラシックピアノ経験者に多いのですが、ピアノは神聖なものであり弾くときは姿勢を正しく気を引き締めて楽譜のページをめくって弾くものだという考えが根付いているように思われます。もちろんこれは正しいことで、何事にも真剣に取り組む姿勢は必要なことですが、たまには肩から力を抜いて、鍵盤を好きなように叩く、撫でてみるのもよいのではないでしょうか。そうすれば自然にアイデアやハーモニーが浮かんでくるかもしれません。

新しい環境を作る

ヒトを含めた生物は環境の変化を嫌い安定を求める傾向にあります。このような居心地の良い場所を心理学ではコンフォートゾーン(comfort zone)と呼びます。コンフォートゾーンは大切な場所であり重要な環境なのですが、得てしてぬるま湯の環境になりがちです。みなさんも経験があると思いますが、静かな家の中よりも賑やかな喫茶店の方が不思議と勉強や読書など捗ることは多々あります。環境を変えることはそれ自体が刺激となり作業効率をUPさせる効果があるようです。

ピアノは喫茶店では弾けませんが、部屋のカーテンの色を変える、机の配置を変える、本棚を整理する、ピアノの位置を変えるだけでも刺激になると思いますので、住居環境が許す範囲でアレンジしてみてください。私は煮詰まった時、都内の貸しスタジオ(バンド練習などする場所)に練習しに行くこともあります。自宅とはまた違った雰囲気と、何より『スタジオ』という空間でピアノを弾く自分にテンションが上がり刺激になります。もちろんジャムセッションに参加する、ジャズ教室に通うなども大変刺激になります。

新しい機材や教則本を買う

私は楽器が好きで、経済的に許される範囲内で電子ピアノを買い換えることがあります。若い頃はギターに夢中だったため、色々なギターを買っていました。新しい教則本を買った時も強制的に練習します。結局お金をかけた分元を取らないと、という意識が働き(ライザップ効果)練習をたくさんするのかもしれません。

やりたくなるまでやらない

やる気が出るまでやらないのも1つの方法です。個人の趣味には基本的に締め切りはありません。ピアノから離れている間に、なんかそろそろ弾かないと...などと思うかもしれません。そのサインが現れたらまたしっかり練習しましょう。