モチベーションの保ち方

音楽に限らず何かを習得する上でモチベーション(動機)を保ち続けることはとても重要な事です。特に芸術分野は成長が緩やかで、数年、数十年と長期に渡って努力を続けていかなければなりません。ここでは私の経験や幾つかの文献(国内、海外)を元に、モチベーション、いわゆる『やる気』を維持する、または引き出す方法について紹介してみたいと思います。ちなみに私は熱しやすく冷めやすい性格で、飽きっぽさには自信がありますが、そんな私でもダラダラと20年近くジャズを続けているのできっと皆様にもできるはずです。

真剣に考えすぎない

いきなり核心めいた話になりますが、皆様が、音楽の趣味についてどのようなレベルを求めているかはとても大切なことです。まだ若く、これから音大に行って将来は一流の演奏家になりたいと考えている方なら音楽を趣味ではなく仕事や人生として真剣に考えなければいけませんが(そもそもそんな人はこのサイトは見ていないと思いますが)、大人の趣味として音楽を楽しみたいと思っている方はもう少し気楽に長期的な視点で、ある程度のところで楽しむという風に考えることが、結局は長く続けられる秘訣だと思います。あまり意気込みすぎて、まるで沸騰させすぎてヤカンからお水が全部蒸発するように、あとには何も残っていないという結果はとても残念に思います。そうならないためにも、趣味はほどほどに、を強くお勧めします。

他人と比較しない

『どのレベルになっても、自分より上手い人も下手な人もいる』これはあるギタリストの言葉ですが、まさに言い得て妙です。要するに他人と比べる意味は全くないということです。焦らず自分のペースで学習を進めましょう。

やりたいときにやる

上述したように、やりたいときだけやる、やりたくないならやらない、これが大人の趣味の嗜みです。実はこのやりたい時、つまり気分が乗っている時は学習効果が高くなるというデータがあります。やりたくないときに無理に練習するより、気分が乗っているときに集中してやること、これが結果としては上手くいくのではと考えています。しかし何日もダラダラ過ごしてしまうと、やりたい気持ちも失せてしまいますので、その辺りは注意しながら、やはりこれも、やりたくて仕方がない、まで待つのではなく、”ある程度”やりたい気持ちが出たら練習する、という感じでスケジュールを決めるのが良いと思います。

やる時は真剣に

矛盾しているかもしれませんが、やりたいときにやる、だからこそやる時は真剣に、をお勧めします。

新しい環境を作る

ヒトを含めた生物は環境の変化を嫌い安定を求める傾向にあります。このような居心地の良い場所を心理学ではコンフォートゾーン(comfort zone)と呼びます。コンフォートゾーンは大切な場所であり重要な環境なのですが、得てしてぬるま湯の環境になりがちです。みなさんも経験があると思いますが、静かな家の中よりも賑やかな喫茶店の方が勉強や読書など捗ることがあります。環境を変えることはそれ自体が刺激となり作業効率をUPさせる効果があるようです。

ピアノは喫茶店では弾けませんが、部屋の模様替えをする、ピアノの位置を変えるだけでも刺激になると思いますので、住居環境が許す範囲でアレンジしてみてください。

私は煮詰まった時、都内の貸しスタジオ(バンド練習などする場所)に練習しに行くこともあります。自宅とはまた違った雰囲気と、何より『スタジオ』という空間でピアノを弾く自分にテンションが上がり刺激になります。もちろんジャムセッションに参加する、ジャズ教室に通うなども大変刺激になります。

新しい機材や教則本を買う

私は楽器が好きで、経済的に許される範囲内で電子ピアノを買い換えることがあります。若い頃はギターに夢中だったため、色々なギターを買っていました。新しい教則本を買った時も強制的に練習します。結局お金をかけた分元を取らないと、という意識が働き(ライザップ効果)練習をたくさんするのかもしれません。

趣味は無くてもよいもの

最後になりますが、趣味はマズローでいうところの最も上の階層にあるもので、言い換えれば贅沢・嗜好品のようなものです。生活する上で必ず必要なものではありません。もちろん趣味が生きがいの方は沢山おられますので個人差はありますが、もう少し気楽に楽しむという観点ではこの、無くてもいいもの、も一考する価値があると考えています。

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