ジャズのリズム
ジャズを弾く(聴く)楽しさは各奏者のアドリブの他に、その躍動感あふれるリズムがあることは間違いないと思います。ジャズのリズムは音符で表すことが難しく、以前、譜読みがパーフェクトな音大出の方にウィントン・ケリーの枯葉をコピー譜(もし興味あれば譜面はこちらです)どおりに弾いてもらったことがあります。メロディーやアドリブなどは譜面どおりなのでウィントンケリーの弾いているものと違いはないのですが、そこで奏でられていたものはジャズとは言い難く、やはりジャズは音符だけではなく、独特のノリが大切だと改めて認識した瞬間でした。
独特のノリ
どうしてもこのノリを譜面に、ということになれば三連符が最もそれらしくなります。例えば八分音符を弾く場合でも三連符の真ん中(上図のe)を抜いた感じで弾きます。
ハネないことが大切
ただ、このまま弾いてしまうと、ダッダ-ダッダ-ダッダとハネてしまいます。よって、上図のように(手書きですみません...)最初の音に重さ(音価)を与え、ダーダ-ダーダ-ダーダと、まるで最初の音符を後の音符で引っ張るような感じで弾くとそれらしくなります。
しかしこれは音符や言葉では表現しづらい部分であること、またプレイヤーの個性が出やすい部分であるため、正解はありません。ウィントンケリー、ホレスシルバー、レッドガーランドなどのバップ期を代表とするアーティスをよく聴き雰囲気をつかんで、それを真似るのも良いかと思います。また、メンバー限定公開(90円です)ですが、私の動画(こちら)でも解説していますので、よろしければ参考にしてください。
バックビートを身につけよう
バックビートとは簡単にいえば2拍と4拍に重心を置くリズムのとり方です。例えば4拍子、ワン、ツー、スリー、フォー、というリズムのツー、とフォーに、それこそ足踏みを入れる感じでリズムをとります。ジャズやR&Bなど欧米の音楽のほとんどがバックビートで演奏されます。リズムの中心、いわゆる核が2拍と4拍なのです。今はそうではありませんが、かつて来日したR&Bアーティストがライブの最中に日本のお客さんが1拍と3拍で手を叩き困ったという笑い話もありました。日本の伝統的な音楽はビートが1拍と3拍なのです。ちなみに1拍と3拍をダウンビートと呼びます。
メトロノームを使った練習法
バックビートを身につけるにはメトロノームを使った練習が効果的です。これはピアノがなくてもできる練習なので、まずはお手持ちのメトロノームを用意してください。持っていない方はアンティークな感じのウィットナーがお勧めです。
それではまずテンポは60に合わせます。これで1分間に60回(1秒間に1回)音が鳴ります。言葉で表すと「イチ、ニー、サン、ヨン」となります。クラシックなどではこのリズムで演奏するわけですが、バックビートではコチ、コチと鳴る音を『にー、よん、にー、よん』と体を揺らしながら声に出します。そしてリズムに乗ってきたら『いち、コチ、さん、コチ』と1と3を声に出して、2拍と4拍にメトロノームの音が鳴るようにします。
日々の練習に活用
可能ならば単純練習、例えばハノンなどを弾くときにいつもの4拍全てを鳴らす代わりにニーヨンのリズムでメトロノームを感じてください。最初は慣れないかもしれませんが、必ずできるようになります。