コードの基本

コード(和音)の理解はジャズでは特に重要になってきます。ここではまずトライアドと呼ばれる三和音を解説していきます。トライアドはコードの基本中の基本なので、まずはトライアドを覚えてから次に四和音のセブンスコード、テンションコード(エクステンションコード)などの複雑なコードを覚えていきましょう。またコードはスケール(音階)から作られていますので、先に基本スケールやモードについて一読(今は理解できなくても構いません)しておくと良いかと思います。その他、コード理論本ヴォイシングの本などの教則本も活用して下さい。また関連動画も是非一度ご覧ください。文字では分かりづらいニュアンスが伝わるかと思います。焦らずにゆっくり自分のペースで学習を進めて下さい。

音名はアルファベット表記

音名の呼び方は各国でそれぞれあるのですが、日本で使われているのはドレミファなどのイタリア語読みです。ジャズでは音名はアルファベットで表記し、アルファベット読みするのが基本となります。例えば、Cはシー、つまりドの音です。Eならイー、つまりミの音です。もし慣れていない方はできるだけ早めにアルファベットとドレミの関係を覚えてください。

音名
イタリア ドレミファソラシ
アメリカ C D E F G A B
日本ハニホヘトイロ

日本では音名にイタリア語とアルファベット読みが混在していることが多々あります。ミュージシャン同士の会話の中でも「ドのコード」と「シーコード」は同じ意味で使われます。さすがに「どのコード鳴らして」と言われ、「どの(what)コード?」と聞き返すことはありませんが、Bのイタリア語読みのシとCのアルファベット読みのシはともに発音がシとなるので混乱を避けるため、Cはシー、Bはティーと分けて発音することもあるようです(もっとも日本ではBコードをシーコードと呼ぶことは滅多にありません。通常はビーコードとそのまま呼びます)。とりあえずC D E F G A Bを全てアルファベットで読み、対応する音をイタリア語(ドレミなど)で確認すること、これを先にマスターしてください。英語、イタリア語どちらにも慣れておくことをお勧めします。

ルート(根音)

コードを学習するのにルート(根音)という言葉は絶対に不可欠です。ルートとはいわゆる基準となる音、ベース音で、例えばコードの記号であるCとかEとか書かれていた場合、ルート音はそれぞれシーとイーになります。コードは次にお話しする音程の積み上げから成り立っていますので、この基準音が何かを先に考える必要があります。ちなみにルートとキー(調)は異なります。キーは調性、つまり曲全体についての世界観のようなものを表していますが、ルートはもっと小さな単位です。とりあえずコードにおいてはDやBなど必ずアルファベットが書かれていますので、それがルートだと認識してもらえれば十分かと思います。

音程(ディグリー、度)

ルートから、それより高い音がどれだけ離れているか表す単位を度数(ディグリー)と呼びます。ジャズではこの理解も大切になります。絶対的な音名(ドとかファ)に対して度数は、例えばC(ド)の音をルートとするとミは3度、ソは5度、シは7度となり、ルートをA(ラ)にすると3度はドの音にななるといったように、相対的な表し方になります。このように度数表記する方法ですが、ジャズでは13度までを使用します。

ちなみに度数において2度と9度、6度と13度、4度と11度はオクターブ違いの同じ音ですが、表記が異なるとその背景にあるスケールも異なるという考えもありますので、もし興味があればジャズ・スタンダード・バイブルで有名なジャズベーシストの納先生の著書、ジャズ・プレーヤーのための実践理論教室を一読ください。

トライアド

3つの音から成るコードをトライアド(三和音)と呼び、これがコードの最も基本的な形になります。トライアドにはメジャー、マイナー、オーギュメントがあります。オーギュメントは非常に個性的なサウンドで使用できる場面が限られます(ポップスでは多用されますが)ので、今の段階では知識としてのみ知っておけば十分だと思います。

メジャートライアド

ルートから長3度、完全5度の音を積み上げたものをメジャートライアドと呼びます。例えばCメジャートライアドはドミソになります。鍵盤で考えると、ルート音から3つあけた音とそこから2つあけた音を積み上げた和音です。図で確認してください。コード表記としてはCやCΔが使われます。よって譜面上にCと書かれていたら、これはドの音という意味ではなく、ドミソという和音を表していることになります。Gならソシレです。このように記号を用いることで、コードをドミソやCDEまたは音符で全て書かなくてもよいので、大変便利です。

また音と音との間隔(ルート音から3つあけた音とそこから2つあけた音)ですが、これは不変的な規則なので、例えばルートをEに変えても、EメジャートライアドはEから3つあけたG#、さらに2つあけたBの音、つまりEG#Bとなります。ルートを変えて色々試してみて下さい。すぐに理解できると思います。

C

ちなみにモードで考えると、メジャートライアドはアイオニアンスケール(メジャースケール)の1,3,5番目の音で構成される和音となります。モードスケールを知っていると、ルートから3つあけて、2つあけて...と考える必要がなく、シンプルにルートからスケール上の3番目、5番目の音を鳴らせば良くなるので便利です。サイト内でも紹介していますので、後でご覧ください。

マイナートライアド

マイナートライアドは先ほどのドミソのミを半音下げたもので、短3度と完全5度の組み合わせです。暗い響きを感じて下さい。記号はCmやC−です。 鍵盤で考えると、ルート音から2つあけた音とそこから3つあけた音です。図で確認してください。

Cm

モードで考えると、マイナートライアドはドリアンスケール(フリジアン、エオリアンも可能)の1,3,5の音で構成される和音となります。

オーギュメントトライアド

メジャートライアドの5度の音を半音上げたもの(短6度)をオーギュメントトライアドと呼びます。記号はaugで、例えばCならCaugと表記されます。やや特殊なコードで、曲調を変えたい時やイントロなどで多用されます。鍵盤で考えると、ルート音から3つあけた音とそこから3つあけた音です。サンサンと覚えるといいですね。図で確認してください。

Caug

まとめ

いかがだったでしょうか。特にクラシックピアノを弾かれている方にはコードは馴染みが薄いかもしれませんが、記号とそこに含まれる音の意味が解るようになると、音符をみて弾くより断然コードに対して早く反応できるようになります。また最近ではクラシックの楽譜にもコードが書かれている時代ですので、ぜひこの機会に学んでみて下さい。

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