ピアノ初心者の方へ
ピアノが全く弾けない(またはずいぶん昔に習っていたけど今は全然弾けない)方でも、モチベーションさえあれば何歳から始めてもジャズピアノを楽しめるレベルに到達することは十分に可能です。以下私の経験を交えながらアドバイスのようなものができればと思っています。
30代でピアノを独学
私がピアノを(真剣に)始めたのは30歳を過ぎてからでした。まずは何をともあれピアノが必要でしたので、中古でYamaha P-80というモデルを購入して、狭いアパートの部屋で憧れだったピアノ生活を始めました。
真剣に、と書いたのは実は小学生の頃に少しだけピアノを習っていました。赤バイエル程度で終了となりましたが、それでもまあ一応経験者なのでなんとかなるだろうと思い軽い気持ちで、たかをくくって始めたものの、実際は自分でも驚くくらい全く指が動きませんでした。これではジャズどころではないと思い、まず指のトレーニングを徹底的にしようと決心しました。
ハノン漬けの毎日
練習しようと鼻息荒く始めたのですが、働いているので練習時間が極端に限られています。そこでまず朝5時から2時間、帰宅して2時間、週末は8時間程度、毎日ハノンを弾くことにしました。とにかく徹底的に指を、少なくともドレミの音階がスムーズに弾けるくらいには動かせるようになることが目標でした。ハノンの使い方について私の動画がありますのでよかったらご覧ください。
上達を実感した瞬間
3ヶ月くらい経った頃でしょうか、なんだか指が軽くなった気がして以前よりも明らかに指が動く、という感覚を得ました。自分で動かしている、そんな感覚です。指が動くようになると練習が飛躍的に捗るようになりました。それまで弾けなかったアドリブフレーズも見よう見真似で弾けるようにもなり、初めて楽しさを感じることができました。またコードも、指のストレッチができるようになると複雑な和音を押さえることもでき、とにかく無我夢中で練習を続けました。今思い出しても、上達を実感した瞬間は、大袈裟にいえば人生においてこれに勝るものはないくらい素晴らしい喜びでした。3ヶ月、人によっては数年かかるかもしれませんが、皆様も先にある喜びを信じて、諦めずに練習に励んでください。
限界を受忍することが大切
とはいえ、指の神経の発達には生物学的なリミットがあり、大人になってピアノを始めて、例えば幼少からピアノの訓練を受けている方々と同等のレベルなることは難しいと考えられています。経験上、これは事実だと認識しています。これについては”ピアニストの脳を科学する”という書籍に書かれていますのでよければ参考にしてください。
しかし、音楽においては技術が優れていることと演奏が素晴らしいことは必ずしも一致するものではない、と個人的には考えています。これまでプロやアマチュアの演奏を沢山聴いてきましたが、たとえ稚拙な演奏であってもリスナーの心を捉えることは十分に可能だと確信しています。どのようなレベルの演奏でも、その演奏でこの世の中にたった1人でも大切な人の心を満たすことができれば、音楽を続けていく意味は十分にあると思っています。(私がかつてストリートピアノで感動したエピソードはこちらから)
とにかく継続しましょう
大人になってピアノを始めて一体どこまで到達できるのか、はその人の音楽的な素養、ピアノを含めた他の楽器の経験の有無、知識やモチベーションの高さによって大きな幅があるため、ここまで、と言うことはできません。自分の到達できるレベルは自分でみつけるしかありません。要するに、自分がどの程度弾けるようになるのかは、限界が分かるまで努力を続けるしかないということです。逆に言えば、努力を止めてしまった時が自分の限界ということになります。
レッスンや書籍を利用する
初心者であればあるほどピアノの基本的な技術指導を受けることは大変効果的です。最近では大人のためのピアノ教室が沢山あります。期間限定で、例えば1年間だけでも通ってみることをお勧めします。それが難しい方は大人のためのピアノレッスンなども参考にして基本的な技術を身につけましょう。一通り済ませてしまえば、あとは独学でも問題ないと思います。
参考までに私が初期に使ってた教材はハノンとバーナム、それからジャズ用にブルースを始めたいピアニストのためのやさしいブルース・ピアノです。ハノンで指を鍛えて、ジャズピアノの基本であるブルースを学びました。その他、私が使って良かったと思う本を当サイトで紹介していますのでこちらのリンクもご覧ください。
1日でも早いスタートを
楽器の中でもピアノは最も習得が難しいとされていますが、経験上、ギターでもサックスでも簡単にマスターできる楽器は皆無で、習得には必ず一定の時間が必要です。今から新しい楽器を始めようと考えている方はとにかく早く、1日でも早く始めましょう。
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