Jazz Chord

ジャズと他のジャンルの曲との違いを決定づける要素にはその独特なコード(和音)の響きがあります。私もその複雑なコードハーモニーのサウンドに胸を打たれジャズが好きになりました。ピアノは一度に鳴らせる音数が多いため和音に強い楽器であると言えます。ジャズピアノを習得するためにコードの理解は避けて通れません。またコードはそれぞれ押さえる鍵盤の形が決まっているので一度覚えてしまえばCm7とかF7とかの記号をみるだけですぐにコードを鳴らすことができます。

ページ内リンク|コード進行とケーデンス(II-V-I) | AフォームとBフォーム

▶︎動画コード練習で確認。

ちなみにド=C、レ=Dなど基本的に音名はアルファベットで表記するので早めにこの表記に慣れましょう

音名
イタリア ドレミファソラシ
アメリカ C D E F G A B
日本ハニホヘトイロ
度数1 2 3 4 5 6 7

Interval

インターバルは音程のことで、ある基準音からみて、基本的にはそれより高い音がどれだけ離れているかを度(ディグリー)で表記します。

例えばドの音を基準に考えるとミ=3度、ソ=5度、シ=7度となり、これらはメジャースケール内で何番目に位置するか数えることができます。さらにオクターブ超えて数えることで、ジャズでは13度までを使用します。

ちなみに2度と9度、6度と13度、4度と11度は同じ音ですが、理論上はオクターブの違いによって数字が異なります。実際には9度、13度、11度として呼ぶことが多いです。

また基準音を根音(ルート)と呼びます。例えばG-B-D-F#-Aと弾く場合、Gはルート、Bは3度、Dは5度、F#は7度、そしてAは9度と表現します。ただしこの場合はGのメジャースケールをGの音から数え、何番目にあるかということで、基準音が変わると同じ音でも度数が変わるので注意しましょう。(例えばDの音はCからみると2度ですが、Gからは5度です)

度数の長・短・増(減)・完全

例えばCメジャースケールにおいて、Eの音(ミ)は3度となります。ではEb(ミのフラット)の音は何度になるでしょうか。答えは減3度と呼びます。このように半音階(この例では黒鍵)にも名称がついています。興味があればWikiを参考にしてください。

度数
完全完全4度、完全5度
長3度、長7度
短3度、短7度
増4度

解説

コードを多用する楽器がギターです。ギタリストの多くは譜読みができませんが、あらゆるコードを指の形で覚えているため、どのような曲でもコードが書かれていれば音楽的に弾くことができます。ピアノはギターよりも覚えるコードの形は多いですが、コード表記はやはり大変便利です。

Triad

トライアド(3和音)はポップスなどで多用されるコードで、もっとも基本的な和音になります。とりあえずドミソと同時に押さえてみましょう。ディグリーなら1,3,5度となります。これは日本語では長3和音、英語ではメジャーコードと呼び、記号はMや△などが使われます。よってこの場合はCMやC△と表記されるのですが、ジャズでは後述する4和音と区別するために単純にCやFなどと記載することが多いです。

次にドとミのフラットとソを押さえてみましょう。ディグリーなら1,b3,5度です。響きが少し暗くなりました。これは短3和音と呼ばれ、英語ではマイナーコードと呼びます。ちなみに記号はmや−などがあります。この例だとCmやC-です。マイナーの場合は必ずmや-を付けます。

4 Notes Chords

先ほどのトライアドに7度の音を加えて4和音にしたものをセブンスコードと呼びます。例えばCM(ドミソ)に7度であるBの音を加えるとCM7(ドミソシ)というコード(Cメジャーセブンスコード)になります。弾いてもらうと、3和音に比べお洒落なサウンドになったと思います。以下まとめの表です。(b=フラット)

コード
C1-3-5
Cm1-b3-5
CM71-3-5-7
Cm71-b3-5-b7

Dominant 7th Chords

ドミナントセブンスコードはとても重要なコードで、基本的にはどんな楽曲にも必ず使われており、和音の進行には欠かせない要素となっています。

ドミナントセブンスコードはメジャートライアドにb7の音を加えたもので、例えばシーセブンス(C7)ならドミソ+シb(1-3-5-b7)となります。

7thコード
C7C-E-G-Bb
F7F-A-C-Eb
G7G-B-D-F
Eb7Eb-G-Bb-D

上の表でアレ?と思った方もいると思いますが、G7のb7の音はFbではなくFです。これはGという音階の7番目の音は元々F#のため、F#をフラットさせるとFになるという仕組みなのですが、これを理解するためには各調に応じた音階の知識が必要になります。

とりあえず今はあるコードのセブンスの音は、そのコードのルートの全音下の音と覚えるとよいかもしれません。もう少し知識のある方は3度と7度の間が増4度になっていると覚えるのがベストかと思います。なぜならこの増4度の不安定感がセブンスコードをもっとも特徴づける要素となるからです。

解説

4和音は厚みのあるヴォイシングなのですが、サウンドとして重たくなることがあり、時としてメロディーを邪魔することもあります。コードの核はルートを除くと3度と7度のわずか2音で成り立っています。余裕があれば5度の音を抜く練習もしておくと良いかもしれません。例えばCM7のドミソシならばソの音を抜きます。

Chord Tensions

テンションノート(tension note)とはコードの核ではない音、つまり1-3-5-7以外の音のことで、コードのハーモニーに広がりを持たせる役目があります。また厳密ではないですがコードの種類によって使えるテンションが決まっており、ここから1音ないし2音を加えることで美しい響きを得られることができます。もちろん全部乗せも大丈夫です。

コード使えるテンション
メジャー6, 9, #11
マイナー9, 11, 13
セブンス9, b9, #9, 13, b13, 11, #11など

C7(b13 #9)

Upper Structure Triad

これまで勉強したメジャー、マイナーコードの知識のみでお洒落なテンションコードを作るのに欠かせないのがアッパーストラクチャートライアドと呼ばれるヴォイシング手法です。

とりあえずあるマイナーセブンスコード、例えばDm7コードを左手で、その上に全音上のマイナートライアド、つまりEmコードを右手で同時に鳴らしてみましょう。なんだか遠くに連れて行ってくれるような?浮遊感あふれるジャズサウンドを体験できたと思います。今度はC7とDを組み合わせてみましょう。完璧なジャズサウンドが出来上がりました。このようにあるコードの上に違うコードを加えると様々なサウンドが体験できます。まずは全音上のコードを加えて色々試してみてください。

コードUST
Dm7(9,11,13)D-F-A-C+E-G-B
C7(9,#11,13)C-E-G-B+D-F#-A

Dm7(9,11,13)

解説

世の中には定石、いわば万人受けする最大公約数的な考えがあります。音楽の世界ではコードが鳴っている時に使ってよい音符は、そのコードの構成音かテンションと決まっています。ラジオで流れていたaikoさんのカブトムシを懐かしいなと思い耳コピしていたところコードとメロディがどうしても合わない部分がありました。最初は自分の耳を疑ったのですが、何回音を取っても間違いなくコードに合わない音でした。しかしなぜかサウンドとしてはバランスがとれています。後日調べてみるとそれがaikoさんのメロディセンスということで納得しました。Bill Evansもメジャーコードにb9をぶつけるなど型にハマらない演奏をします。皆さんも色々試してみてください。何も考えずに弾いたコードが素晴らしかったということもあります。

SUS Chord

susコードは非常に浮遊感のあるサウンドで、始まりを予感させるため、イントロでもよく使われます。susコードはセブンスコードの3度を抜いて、代わりに4度を使うもので、具体的にはCsusならC-F-G-Bbとなります。5度は省略されることも多いです。

▶︎動画SUSコードで確認。

susコードもUSTで作ることができます。セブンスコードのルートの全音下のトライアドを加えます。ただし元になるセブンスコードの3度は必ず抜くようにしてください。

コードUST
Csus9C-G+Bb-D-F

Half diminished Chord

別名マイナーセブンスフラットファイブコードと呼ばれ、表記ではø7、m7b5やm7-5などが使われます。ø7はVIIø7、IIø7、VIø7、などがありますがよく使われるのはIIø7で後述するIIm7-V7-IM7というケーデンス(和音の進行)において、IIø7-V7-Im7などマイナーコードのルートへ解決する際に使われます。

このコードもUSTで作れます。ある音(ルート)の短3度上のマイナートライアドを加えます。例えばBø7はB+D-F-Aです。

またこのコードはb5の音、つまりルートから見て増4度の音を含むため、ドミナントセブンスコードの代わり(代理コード)に使われることもあります。表の通り、構成音がほとんど同じというのも重要なポイントです。

▶︎動画ハーフディミニッシュドコードで確認。

G7の代理G-B-D-F
Bø7B-D-F-A
Db7Db-F-Ab-B

解説

昔ジャズピアノを始めたての頃、ø7と表記してあっても全てm7コードを押さえていたことがあります。どっちでも一緒でしょという安易な考えがあり、押さえやすいm7コードを弾いていたのですが、ジャムセッションに行った時、耳の良いサックスの方に「そこはしっかりハーフディミニッシュ鳴らしてね」と演奏中に耳打ちされました。m7なのかø7なのかでアドリブが変わってきます。せっかく気持ちよくアドリブしようとしているのに伴奏のコードがおかしければかなりストレスになるでしょう。それからはきちんとø7を意識するようになりました。

[コード進行とケーデンス]

ここからはコード進行とジャズでもっとも重要なIIm7-V7-I(ツーファイブワン)と呼ばれるケーデンスについて述べます。その前にダイアトニックコードについて学んでおきます。

Diatonic Chord

例えばドレミファソラシド(Cメジャースケール)という音階のそれぞれの音をルートにして和音を作っていくと、使ってよい音はスケール内の音なのでそれぞれ決まったコードができます。こうして出来上がったコードをダイアトニックコードと呼びます。この例ではメジャースケールのダイアトニックコードですが、このほかマイナースケールのダイアトニックコードなどたくさんあります。興味があればこちらの表なども参考にしてください。

CChord
C-E-G-BCM7IΔ7
D-F-A-CDm7IIm7
E-G-B-DEm7IIIm7
F-A-C-EFM7IVΔ7
G-B-D-FG7V7
A-C-E-GAm7VIm7
B-D-F-ABø7VIIø7

ドミナント進行

ジャズに限らずほとんどの楽曲中で使われるのがV7-Iという流れで、V7をドミナントセブンスと呼びます。前述した通りV7は不安定感があるためどこかに落ち着きたい気持ちにさせます。落ち着く先は様々なのですがここではもっとも基本的なI、つまりルートへ落ち着く(これを解決と呼びます)ことにします。誰もが知っている、気を付け→礼のBGMはC-G7-Cのまさにドミナント進行そのものです。

II-V-I

先ほどのドミナントセブンスからルートへの解決をもう少し細かくしたものがIIm7-V7-Iという進行になります。この進行はとにかくジャズでは多用されており、アドリブも含めてすべての基本になっています。実際、チャーリーパーカーを代表とするバップ期ではどのような曲もすべてII-V-Iに細分化することでアドリブフレーズを組み立てることが主流になりました。

コードの覚え方

いよいよコードの覚え方です。先ほどのダイアトニックコードを考えると、基本的なものでも7x12キー=84種類のコードを覚えないといけません。これにさらにテンションを加えていくと膨大な数になります。ちなみにギターはキーが変わっても指の形は同じであるため基本は7種類で大丈夫です(笑。とにかくこの膨大な数のコードを覚えていくのは楽ではありません。そこでよく使われるコード進行、ここではIIm7-V7-IM7を中心にして上手くカテゴライズすれば覚える労力はかなり軽減されると思います。

AフォームとBフォーム

▶︎動画II-V-I練習動画で確認。

ここで紹介するコードフォームはすべてテンションを含んでおり、ソロピアノ、またはアドリブ時の左手の和音など応用が利きます。正式な名称ではありませんが、ここではそれらをAフォーム、Bフォームと呼ぶことにします。

Aフォーム音名
IIm7b3-5-b7-9
V7b7-9-3-13
IM73-5-7-9
key001

IIm7(Cm7の例)

key002

V7(F7の例)

key002

IM7(BbM7の例)

Bフォーム音名
IIm7b7-9-b3-5
V73-13-b7-9
IM77-9-3-5
key001

Cm7の例

key002

F7の例

key002

IM7(BbM7の例)

AフォームとBフォームのAltered tension

前述したように、AフォームとBフォームはもともとテンションを含んでいますが、これらはナチュラルテンションと呼ばれ、あくまでそのキー(ここではIM7)のスケール上の音から選んだものになります。

このままでも十分によいサウンドが得られるのですが、次のコードのコードトーンやテンションノートへのつながりを滑らかにするために7thコードを弾いた際に少しだけ指を動かしてみましょう。

左手の例ですが、具体的にはAフォームのセブンスコードの場合は中指と親指をそれぞれ半音下げる、Bフォームのセブンスコードでは中指は半音下げ、親指は半音上げます。以下Aフォームの例です。

key002

F7(9 13)

key002

F7(b9 b13)

AフォームではF7のb9であるGbの音、b13であるDbの音がそれぞれトニック(IM)の5度と9thに滑らかにつながります。次はBフォームです

key002

F7(13 9)

key002

F7(b13 #9)

BフォームではF7のb13であるDbの音はAフォームと同様にトニックの9thへ滑らかに繋がるのですが、#9であるAbの音はトニック(IM)の5度に滑らかにつながりません。これはこれで特に問題はないのですが、下記のようにさらにb9を弾くことで滑らかな流れができます。

key002

F7(b13 #9→b9)

動画も参考にしてください

以下よく使われるII-V-Iです。これらを先に覚えていきましょう。

解説

実際に弾いてみると各フォームのV7はIImコードを少し動かすだけで弾くことができます。例えば左手でAフォームのIIm7を押さえた後、そのままの状態で人差し指だけ半音左にずらすとV7、BフォームはIIm7を弾いた後にそのままの状態で小指を左に半音ずらすとV7です。このようにコードが変わる時はできるだけ指の動きを少なくすることがポイントになります。

コードを形で覚える

最後になりますが、私はギターを弾いていたため、コードを音ではなく形で覚える癖があります。ピアノを始めた時、ギターと同じように何とかしてコードを形で覚えられないものかなと考えていました。AフォームのIIm7の形に限定しますが、以下何か参考になればと思います。便宜上名称を付けました。Black:黒鍵から始まる型, white:白鍵から始まる型

タイプ類似の型
BlackCm,Fm,Bbm
WhiteDbm,F#m,Bm

Black type

White type

Diatonic Chord

ダイアトニックスケールの各音を積み上げていったものがダイアトニックコードです。メジャーと3種類のマイナーがあります。(Mはメジャー、nmはナチュラルマイナー、hmはハーモニックマイナー、mmはメロディックマイナー)

Mnmhmmm
IM7Im7ImM7ImM7
IIm7IIø7IIø7IIm7
IIIm7bIIIM7bIIIM7+bIIIM7+
IVM7IVm7IVm7IV7
V7Vm7V7V7
VIm7bVIM7bVIM7VIø7
VIIø7bVII7VII○VIIø7

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