COMPINGの実際

ベースの音域

ピアノと関係ないようで、ベースの音域を知ることは色々役に立ちます。そしてこのベースの音域がベーシストにとってはまさに『聖域』となります。

88鍵のピアノをお持ちの方なら、まずは一番左端の音がラであることを確認して下さい。ベースの最低音域、いわゆる開放弦Eの音はそのラの音から音階を上がっていき、はじめに現れるEの音です。次に最高音ですが、これは中央ドからみて音階を下がっていきはじめに現れるGの音です。つまりどうがんばってもピアノの左手の音はベースと被ってしまいます。しかし逆に考えると、この音域から外れていれば、たとえそれがルート音でも鳴らしてかまわないということになります。参考

ヴォイシングで重要なのは3度と7度

ベーシストがいることを前提にお話します。まずは左手で3度と7度を押さえます。これがコードの核になります。実際のところこの2音だけでも伴奏はできます。3度と7度の2音の組み合わせは2種類あります。3-7か7-3です。どちらもコードをみたら素早く左手で押さえられるようになりましょう。

右手を追加

次に右手で1音を足してみます。ここではCm7で5度の音であるGを足してみました。そのまま右手のG音をキープして左手をF7の3-7か7-3を弾くと、このCm7で5度であったG音はF7にとってテンションである9thとなります。少しだけ厚みが出たと思います。次にDの音を足してみます。Cm7にとっては9thの音です。さらにCの音を足して合計5音にしてみましょう。ベースの音域から外れていればルートをトップノートにもってきてもかまいません。

最後にオルタードテンションをセブンスコード上に乗せてみます。このときにアッパーストラクチャートライアドを使えば楽にできます。セブンスコードに対して2度メジャー、6度メジャー、b6度メジャーを乗せればほとんど完璧です。

このようなベーシストがいることを前提にしたコンピングの練習にはマイナスワンが不可欠です。iRealbはとても優れたアプリで、プロのジャズミュージシャンも練習に活用しています。設定をピアノレスにすることをお忘れなく。

iReal b - Technimo LLC

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リズム

実はどんなにオシャレなヴォイシングを持ってコンピングしても、コードを押さえるタイミングが悪いとジャズになりません。逆に3音のヴォイシングでも適切なリズムで使用することでジャズっぽくなります。ジャズピアニストの初心者の多くはコンピングといえばヴォイシングに気がいきがちなのですが、ここはひとつコードを入れるタイミングに注意してみると伴奏はずっとよくなるかもしれません。

まずリズムはupbeat(ウラ拍)が中心になります。しかし小節中すべてupbeatにすると変になります。そこで例えばメジャーコード時にDownbeat(オモテ拍)で入れるなど工夫をしましょう。とにかく方法論は様々です。はっきりしていることは、フォークソングの弾き語りのように4分音符の4拍すべてのアタマにコードを入れないことです。ジャン、ジャン、ジャン、ジャンなど。ちなみにギターではこれを”4つ切り”と呼んでいます。バッキーピザレリの演奏などが有名です。曲調にもよりますが、ギターはなぜか4つ切りでもハマることが多いです。

注意

最大で10個の音を一度に鳴らせるのがピアノの特徴です。しかしコンピングで10個の音を鳴らすピアニストはいません。最大でも5個程度なのが現実です。派手なコンピングに聞こえても実際は4音程度なことがほとんどです。一度自分の弾いた和音を録音して聴いてみると良いと思います。音の入れ過ぎはかえって逆効果です。またソリストを無視した自己満足的なコンピングもよいとはいえません。伴奏はリードの為にあります。時には何も弾かなくてもよいし、少しのカウンターメロディーがゴージャズなコンピングよりも何倍も良いこともあります。

まとめ

コンピングの基本は適当なタイミングで、3度と7度を含むコードを押さえることです。これで大抵は上手くいきます。しかし複雑なスケールやリハモとよばれるコード変化でアドリブをする奏者のコンピングには9thや13thのテンションを含めたヴォイシング(時にはb9 #9など)とコード進行のリハモが必要になります。そして最終的にはお互いにアイデアをフィードバックしあいながら全体としての曲になります。もちろんここまで出来るには相当な時間と経験が必要になります。そしてコンピングはこれをやればよいという方法論が確立されていません。このことが多くの伴奏楽器奏者がコンピングで悩む理由ともなっています。マルグリューミラー曰く「compingはフロントをサポートするためにある。compingに大切なことはまず楽しむこと。自分が楽しいと思うcompingなら奏者みんなが楽しい気分になる」まず自分が心地よいと思うコンピングを目指しましょう。