Session

セッション(ジャムセッションあるいはジャズセッション)はジャズを勉強している者たちが集まって即興で演奏やアドリブを楽しむ場です。皆で演奏するということはバンドを組むというイメージをもたれる方が多いと思います。確かにクラシックも含め現在のほとんどの音楽はメンバーを集め、練習してようやく人前で演奏するもので、ふらりと集まってきた、それこそ名前も知らない人達が思い思いに(好き勝手に)演奏する場など想像もつかないと思います。実際、ジャズのセッションは非常に特殊な場であり、バンドブームと呼ばれた70年代後半から80年代においても特殊な進化を遂げた音楽形態であると思います。しかし、1954年に横浜市伊勢佐木町のクラブ「モカンボ」で守安祥太郎氏や穐吉敏子氏によって行われた伝説的なジャムセッションなど、現在のバンドという形態が主流になる以前には、ジャンルは違えど皆セッションを通じて音楽を自由に楽しんでいた様子が伺えます。

解説

古くはミントンハウスで演奏後に行われたセッションが起源とされており、ここから従来のダンスミュージックであったスィングジャズから現在のようなアドリブを主体としたモダンジャズへと発展したといわれています。アルバム『ミントンハウスのチャーリークリスチャン』はモダンジャズ発生の瞬間を捉えた貴重な音源とされています。

現在の状況

統計的な裏付けはありませんが、私がジャズや音楽に夢中であった90年代に比べ現在は若い世代の音楽人口の減少、特にジャズ人口はかなり減りつつあるように思います。それに伴い、ジャムセッションのできる場所も限られてきており、場所にもよりますが参加人数が数名という日もざらにあります。端的に言えばジャズ熱は以前ほど高くはなく、むしろ氷河期時代と呼べる状況です。

これにはかつて若い頃にジャズの洗礼を受けた方々が皆趣味として落ち着いてジャズを楽しむようになった、いわゆるジャズプレイヤーの高齢化(私も含め)も関係しているのではないかと思います。

個人的には現在の状況は悪いことばかりではなく、むしろこれからジャズを始める方々には好都合ではないかと考えています。かつてのようなタバコの煙と酔っ払いが溢れ、時に排他的な空間であった(下手な演奏をしているとドラムからスティックを投げつけられるようなことが本当にありました)、場は基本的には無くなり、大人の趣味として楽しめるクリーンな場へと変化を遂げています。

そして参加人数が少ないということはそれだけ自分の出番があり、また少人数制のクラスのようにベテランのプレーヤーの方にアドバイスをいただけるチャンスにも恵まれます。いくつかのルールを守ればジャムセッションは楽しい場です。皆さんも是非参加してみてください。そしてジャムセッションが肌に合わない場合は無理に行く必要はありません。幸いなことにジャズピアノは1人でも楽しめる楽器であり、指先と頭をフル活用するため脳にも非常によい効果があります。気楽に気長に楽しんでください。

準備

セッションするためには事前にジャズのルールを知っておく必要があります。このサイトでもいくつか紹介はしていますが、セッションのルール本などを参考にするのもよいと思います。基本的には皆で演奏することが前提になりますので、ソロでの練習ではなくireal bなどのアプリか、ジェイミーのマイナスワン教材などを利用してバンド演奏のシュミレーションをしておく必要があります。ジャズピアニストがバンドの中でやるべきこともおすすめ書籍です。

ページ内リンクジャムセッションで演奏される曲にも目を通しておき、最低でも2曲くらいはテーマ、1コーラスのアドリブをとれるようにしておきましょう。

入店

ジャムセッションを開催しているお店はWebで調べればすぐにわかります。曜日、時間を確認したらジャズスタンダードバイブルなどの楽譜を持って向かいましょう。そして入店したらお店の人にパートを伝え、出番を待ちます。自信がなければ『初心者なので1曲しかできません』と伝えておけば大丈夫です。むしろ大歓迎されることでしょう。もちろん雰囲気を見に来ました、でも大丈夫です。お店にとって良いお客さんとは演奏の上手い下手ではなく、クレームを言わずおとなしく、そしてたくさんオーダーしてくれる方です。

解説

ピアノを担当するようになって1番感動したのが、ほぼ手ぶらで演奏場所に行けるということでした。ギターを担当していた頃はギターケースを片手にアンプを台車に乗せて転がしながら移動していました。それはそれでミュージシャンという気がしてよかったのですが(笑。現在はスマホアプリでコード譜も確認できるので本当に財布とスマホでセッションに行けるのですが、気分的なもので、紙の楽譜を持参することにしています。

いざ演奏

大抵のお店にはホストプレーヤーがいます。いわゆるジャムセッションの日に常駐しているセミプロもしくはプロの方で、ベース、ピアノ、ドラムが多いですが、お店のマスターが担当する場合もあります。自分の番が回ってきたら、参加者に軽く挨拶して、速やかにホストの方や共演者の方々に『初心者なので〇〇(曲名)をお願いします』と伝えましょう。皆喜んで答えてくれます。ちなみにそうせずに黙っていると、他の参加者はあなたがどのようなレベルのピアニストなのか分からず、フロントの方が「Oleo演りましょう」と難曲を無茶振りすることもあります。

ピアノの椅子に座ったら演奏開始です。ピアニストは曲のイントロなど大変なことばかりですが、できないならば素直に「イントロができないのでカウントをお願いします。」と伝えてください。イントロについてはサイト内か、イントロ用のテキストもありますので参考にしてください。

解説

大切なのは自分の意思表示をはっきりすることで、特にピアノは存在そのものが大きいため「できる」「できない」を先に伝えた方がよいと思います。イントロをふられて、モジモジ、しばらくしてから「できません」、フロントがリクエストする曲を全て「できない」と答え、「じゃあ何ができますか?」と聞かれて初めて「枯葉」です、と答えるなど。自分専属のバンドを雇わない限りこのような態度は避けた方が無難です(経験談)。

演奏後

演奏後はハンカチなどで鍵盤を軽く拭いてから速やかに退出しましょう。場合によっては「ブルースできますか?」と続けて演奏を求められることがあります。良い機会ですので是非参加してください。そのため最低2曲くらいは、アドリブはどうあれ、テーマと構成を理解している曲を知っておくとよいと思います。席に戻ったら他の参加者の演奏を聴きましょう。自分の演奏が終わったら終始うつむいてスマホの画面に見入っている姿はマナーが良いとはいえません(あくまで程度の問題です)。逆の立場で考えればわかると思います。曲と曲の合間にホストの方や共演者の方から声をかけられることがありますが、常識的な大人としてジャズトークを楽しんでください。自分から進んで上手いプレーヤーに声をかけることも必要です。時にはスクール顔負けの有益な情報が得られることもあります。

解説

私がセッションに参加したのは、ピアノを始めて3ヶ月後でした。まさにドレミの音階程度の技術で、今思えば怖いもの知らずで若かったなー(30歳前なので若くはないですが)と思います。確かブルースと、枯葉など簡単な曲を演奏したと思います。他の参加者の方、特にピアノの方々は若くてもプロ顔負けの腕前で、それを聴いていると何故か非常に自分が惨めな気分になったのを覚えています。それでも休憩時間には自分から積極的に声をかけて、効率的な左手のコードチェンジの方法やヴォイシング、練習方法などを教えてもらいました。皆大変親切な方々で、そういう意味では幸運だったと思います。最近では年齢とプライドが邪魔して気軽に声をかけづらくなりました(笑。初心忘れず、いつまでも素直な気持ちで学んでいきたいものです。

反省会

初心者の方ほど重要なのですが、あまりしているのを見かけない作業に録音があります。下手な演奏を聞きたくない、水に流したいという心理が働くのは大変よくわかりますが、一期一会のジャムセッションを録音しないことは大変勿体無く、また客観的に自分の演奏を聴いて、それが理想像とどれほどかけ離れているのか、いわば自分の立ち位置の確認すらできないので今後のプランも立てられません。

英会話は必ず録音しろといわれます。アメリカ映画が浸透している日本において、自分の英語の発音がネイティブとどれほど異なるのか簡単に確認できるためです。そして自分の立ち位置が分かると具体的な対策も立てやすくなります。ぜひレコーダーを持参して録音し、帰りの電車なり家で聞いて現状理解、向上に努めてください。必ず効果があります。

解説

経験上ですが、下手でも上手くても周りの人々は本人ほどはそれを気にしていないということがあります。特にステージ上の奏者は自分の演奏にいっぱいいっぱいで他の楽器の音を聴く余裕が無いのです。しかし、自信なさげにモジモジ弾いていたりすると、そちらの方が音よりも目立ってしまいます。よって失敗を恐れずに演奏はおもいっきり弾いた方が上手くいくことの方が多いと思います。楽しみましょう!

最後に

参加したセッションが楽しければ次回はもっと練習して参加しましょう。続けていくとあなたにとってかけがいのない趣味、場合によっては仲間ができるかもしれません。しかしジャズという共通の趣味を持っているにしろ、セッションという不特定多数の人が集まる場所では時として不快な経験をされることがあるかもしれません。私も例外ではなく、多くの不快なことを経験しています。若い頃は反発心が芽生えて、その都度多くのエネルギーを費やしてきました。しかし大人になったためでしょうか、そんな時最近では以下のことを思い出すようにしています。

  • 世の中に自分にとって本当に居心地の良い場所は少ないこと。
  • 不快なことは永続的には続かないこと。
  • 楽しいか楽しくないかは自分が決めること。

皆さんも自分にとってのマントラ(真言)を大切にしましょう。

解説

ジャズドラマーの村上ポンタ秀一さんが以前テレビかラジオ番組で、酔っ払ってそのまま寝てしまい、なんか腰が痛いなーと思ったらエレベーターの扉に挟まれた状態(扉は開閉を繰り返していた)で仰向けになっていたと話していました。かつてジャズが盛んだった時代のジャズミュージシャンはワイルドでエキサイティングなんだなとあらためて感じました。ジャムセッションにもユニークな方がこられることがありますが、多くは凄腕のミュージシャンです。むしろ出会えてラッキーだと思うようにして演奏をよく聴いてください。何か感じるものがあるかもしれません。

セッションで演奏される曲

ジャズの曲は無数にあるので突然知らない曲をやろうと言われたらどうしようと心配になるかも知れませんが、ジャムセッションでは演奏される曲がある程度決まっています。ここではそのいくつかを紹介しますので、優先的に練習曲として選ぶのもよいと思います。このうちいくつかはページスタンダード解釈で解説しています。

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