【ジャムセッション】

ジャムセッション(ジャズセッション)はプロアマ問わずジャズプレイヤーが集まって即興で演奏やアドリブを楽しむ場です。

古くはアメリカのミントンハウスでライブ後に行われた観客飛び入りセッションが起源とされており、『ミントンハウスのチャーリークリスチャン』はその様子を収めた貴重な音源とされています。

日本では1954年に横浜市伊勢佐木町のクラブ「モカンボ」で守安祥太郎氏や穐吉敏子氏によって行われた伝説的なジャムセッションが発祥といわれています。動画ではジャムセッションに参加する意義やデメリット、準備などについて経験を交えながらお話しします。

セッション参加の意義

私がセッションに参加したのは、ピアノを始めて3ヶ月後でした。学生時代ジャズギターを弾いていた頃に参加した経験があったので雰囲気やルールは知っていたのですが、それでもドレミ程度のピアノ技術でよく参加できたな、と今では思います。

確かブルースと、枯葉など簡単な曲を演奏したと思いますが、大変な緊張感の中、参加回数が増えるたびに不思議と、上達しているな、と感じることが多くなりました。独特の緊張感とプレッシャーが潜在能力を引き出したのかもしれません。このようにセッション参加のメリットとしては、上達のきっかけを掴めるということがあるかもしれません。

また趣味として演奏できる場があるのは素晴らしいことです。うまくいけばそこで知り合った人達とバンドを組んでライブができるかもしれません。そんなチャンスを与えてくれるのもジャムセッションの良いところですね。

デメリット

何をデメリットとするかは個人差が大きいのですが、一応思いつくことを述べます。まずそもそもジャムセッションができる場所は大変少ないこと、大都市圏でも10店舗程度、地方なら県庁所在地に1店舗くらいです。住んでいる地域によっては通うのも大変ということがあるかもしれません。

またようやく見つけたライブハウスでもベテランの常連ばかりが集まっており、一見さんや初心者は全く相手にされない場所もあります。そのようなところではメンタルがやられる可能性もあります。事前にHPなどで調べるか、試しに覗きに行ってみましょう。そういったことを含めて、やはりジャムセッションができる場所はかなり限定されてしまうと思います。

そして、これはあまり良いことではないのですが、店の雰囲気が自分と全く合わずに嫌になることもあります。マスターやホストなどとの相性もあるかもしれません。音楽の世界は若干浮世離れしている面もあるため、ある程度、あるがままを楽しむつもりで参加するのが良いかと思います。

それでも参加した方がいい

色々述べましたが、トータルでみれば楽しい空間だと思います。参加できる機会があれば是非参加してください。

事前準備

知らない人たちが集まって演奏するため、各人が事前にジャズのルールを知っておく必要があります。セッションのルール本などを参考にするのもよいと思います。個人練習にはジェイミーのマイナスワン教材などを利用してバンド演奏のシュミレーションをしておきましょう。

またピアニストは色々やる事が多いので、ジャズピアニストがバンドの中でやるべきことなども参考にして下さい。

演奏曲目

枯葉とFのブルースが弾ければ十分です。書き譜でもよいので1コーラスのアドリブはとれるようにしておきましょう。ジャムセッションで演奏される曲も参考にして下さい。

いざ入店

入店したらお店の人に演奏楽器と「初心者なので1曲しかできません」と伝えましょう。雰囲気を見に来ました、でも大丈夫です。大歓迎されます。お店にとって良いお客さんとは演奏の上手い下手ではなく、たくさんオーダーして楽しんでくれる方々です。

ステージへ

自分の名前が呼ばれたらステージへ向かいます。この時、ホストの方や共演者の方々に軽く挨拶して「初心者なので〇〇(曲名)をお願いします」と必ず伝えましょう。黙ってピアノの前に座っていると、他の参加者はあなたがどのようなレベルなのか分からず、「Oleo演りましょう」と難曲を無茶振りされることもあります。

ピアノの椅子に座ったら演奏開始です。曲のイントロはピアノが担当するのですが、できないならば素直に「イントロができないのでカウントをお願いします」と伝えましょう。ギターがいればそちらに頼むこともできます。

こういう場で大切なのは自分の意思表示をはっきりすることで、特にピアノは存在そのものが大きいため「できる事」「できない事」を先に伝えた方がよいと思います。

イントロをふられて、モジモジ、しばらくしてから「できません」、フロントがリクエストする曲を全て「できない」と答え、「じゃあ何ができますか?」と聞かれて初めて「枯葉」です、と答えるなど。他の方々の貴重な時間を奪ってしまうので、自分専属のバンドを雇わない限りこのような態度は避けた方が無難です(経験談)。イントロについてはイントロの作り方も参考にして下さい。

堂々と演奏しましょう

経験上ですが、演奏が下手でも上手くても観客はそれを、少なくとも本人ほどには、気にしていません。それよりも自信なさげにモジモジ小さな音で弾いているほうが、印象に残りやすいです。よって失敗を恐れずに、演奏はおもいっきり弾いて、楽しみましょう!

演奏後

演奏後はハンカチなどで鍵盤を軽く拭いてから速やかに退出しましょう。状況によっては「ブルースできますか?」と続けて演奏を求められることがあります。良い機会ですので、できれば是非参加してください。

席に戻ったら積極的に他の参加者の演奏を聴きましょう。色々勉強になります。上手いプレーヤーを見つけたら声をかけることも必要です。有益な情報が得られることもあります(経験談)。見知らぬ人への声かけに抵抗を感じるかもしれませんが、ジャムセッションはそもそもそういう場ですので物怖じせずに情報を仕入れましょう。大抵は喜んでプチレッスンしてもらえます。

録音の重要性

自分の下手な演奏を聞きたくない、と録音を渋る方も多いのですが、一期一会のジャムセッションを録音しないことは受講料を払ってレッスンを受けないことと同じくらいの損失があります。ぜひレコーダーを持参して、帰りの電車なり家で聞いて現状理解、改善、向上に努めてください。驚くほどの効果があります。

最後に

セッションが楽しければ次回はもっと練習して参加しましょう。続けていくとあなたにとってかけがいのない趣味となるかもしれません。

しかしジャズという共通認識があるにしろ、不特定多数の人が集まる場所では時として不快な経験をされることがあるかもしれません。具体的な言及は避けますが、私もこれまでに参加したセッションで不愉快な気持ちになったことは何度もあります。若い頃は反発心が芽生えて、その都度多くのエネルギーを費やしてきました。最近ではセッションに限らず様々な場面で以下のことを思い出すようにしています。

  • 世の中に自分にとって本当に居心地の良い場所は少ないこと。
  • 不快なことは永続的には続かないこと。
  • 楽しいか楽しくないかは自分が決めること。

皆さんも自分にとってのマントラ(真言)を大切にしましょう。

セッションで演奏される曲

ジャズの曲は無数にあるので突然知らない曲をやろうと言われたらどうしようと心配になるかも知れませんが、ジャムセッションでは演奏される曲がある程度決まっています。ここではそのいくつかを紹介しますので、優先的に練習曲として選ぶのもよいと思います。このうちいくつかはページスタンダード解釈で解説しています。

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